恋愛一色
この時から、遥斗は俺に何も言わなくなった。



俺を遠くから見守ってくれていた。



遥斗が言いかけた、
《お前はもっと自分を…》の言葉の続きを聞くのは、俺が恋愛というものを改めて考えたときだった。


苦しかった自分を、遥斗の一言で助かったんだ。



俺は遥斗を一人屋上に残し、屋上から出ていった。



階段に響く、強く閉まったドアの音。


俺は勢いよく階段を下りて行った。



『あれ?響?』



すると目の前には体育が終わった千尋がいた。



『千尋…』



俺は日曜日、千尋を苦しめるんだ。



遥斗の先ほどの言葉が胸に刺さる。



…苦しめて何が楽しい?


分かるかよ、分かるかよ。


これは俺の両親への復讐なんだ。



俺は両親が許せない。


捨てるなら産まなければいい。


捨てるなら男と女、一緒にならなければいい。



俺の手で復讐してやる。
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