恋愛一色
『隣どうぞ?』


こう言って俺を隣に招いた。
俺はその指示に従い、彼の隣に座った。



ここから見る景色は、あの写真のように綺麗で、キラキラと街が輝いていた。
だが一番綺麗なのは、夜空に浮かぶ星だ。
蠍座が綺麗に見える。



『この場所…好きなのかい?』



彼は、夜空を見上げながら俺に聞いてきた。


『知り合いの人が教えてくれたんです…あなたは…誰と話していたんですか?』



彼は一瞬寂しそうな顔を浮かべたが、すぐに元に戻った。



そして小さく呟いた。



『大切な人と話していたんだ…』




『大切な…人?』



俺は彼の言っている意味が分からなかった。
大切な人は星なのか?




『変なこと…聞いてもいいかな?』



『はい…』




『運命の人っていると思う?』




夏の夜は涼しい。
ゆらゆらと木が揺れている。


彼の言葉に俺は戸惑ってしまう。
< 300 / 313 >

この作品をシェア

pagetop