恋愛一色
俺はまた明日美幸に会えるという希望を抱いていた。
だがその希望は叶わなかった。


もしかしたら彼は翌日の出来事を予測していたのだろうか?
だから『また逢えたら離さないで』と言ったのかな?






『…僕のようにはならないで。後悔しないように、生きて…』





彼は俺にこう言って、俺の前から姿を消した。
俺はその彼の背中を見えなくなるまで見つめていた。



そして夜空に視線を移し、あの星を見つめた。





『叶うと思ったら叶う…か…』




小さく独り言を呟き、その場所をあとにした。



下を向きながら、暗くなった街を歩いていく。


その時、前方から勢いよく一人の人が走ってくる。
その人は俺を抜かし、あの場所へと向かって行った。


その人が遥斗だったことなど、知るはずもなかった──…
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