恋愛一色
『おーい?響?』



千尋は俺の顔の前で手をヒラヒラと振っていた。



『あっ…何でもない』



『おかしな響~!』


千尋は口に手を当てて笑っていた。



こういう女の子を見ると、男はすぐに惚れてしまうのだろうな。


でも俺には…無理だ。



俺は千尋に近付き、耳元で囁いた。



『日曜日なにしようか?』


すると忽ち千尋の顔はタコのように真っ赤になっていく。



俺は小さく微笑んだ。



『え…?』



『すげぇ楽しみにしてるよ、千尋ちゃん』



俺は千尋の肩を叩き、教室に戻って行った。



頭の中にあるのは、
日曜日のことだらけ。


考えるだけで楽しくなってくる。



教室には着替をしている和馬と淳がいた。



『お前サボるなよな!』



額からは汗が流れてきていた。
そんなにはしゃいだのか?



俺は外を眺め小さく呟いた。





『日曜日まで…あと少し』
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