恋愛一色
さなは下を向いて何も言わないまま歩いていく。



『…さな?』



俺はさなの腕を掴み、さなの歩みを止めた。



そしてさなは静かに口を開いた。



『別れたの…』



『え?』



これを聞いた俺は、さなに見えないようにガッツポーズをした。



また悪魔な俺が顔を出す。


『なっ何で?』



さなは俺の方を見て、目から一筋の涙を流した。



『…響が好きだから…』



その瞬間、俺に強い電流が走った。




『…さな…』




『響は私のこと嫌い?』



次々とさなの目から涙が流れていく。



嫌い?と聞かれて素直に、
《はい、嫌いです》なんて言えるわけない。


逆に、好き?と聞かれて、《はい、好きです》と素直に言えない。



俺はさなのことを嫌いでも好きでもないから。



『嫌いじゃない…』



俺は掴んでいたさなの腕を俺の方に引き寄せた。
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