恋愛一色
俺はさなの家から出て、自分の街へと向かう。


冬の朝はとても寒い。


少し曇った空。


青空がまだ顔を出していない。


鳩の鳴き声が聞こえてくる。



俺はずっと考えていた。


冷たい手をダウンのポケットに入れ、下を向いて歩いていた。



『…なにしてんだろ』



自分は何なのか、
自分はどうしたいのか。



もう何もかも分からない。


誰か俺に《ダメだ》って言ってくれ。


誰か俺に《目を醒ませ》って言ってくれ…



俺が家に戻ってきたのは、6時を過ぎたときだった。


持っていた家の合鍵を使って家に入っていく。



階段を静かに上っていると、下から母さんの声が聞こえた。



びくっと反応をする体。



『響…どこで遊んでいたの?連絡をしなさいよ?』




『…あっごめん…友達のとこに泊まってた』



俺はこう言って、残りの階段を勢いよく上っていく。
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