恋愛一色
俺が差し出した飴玉を見て千尋の怒っていた表情が一気に消えていく。


『ばかじゃない?こんなので機嫌が直るとでも思うの?…でも許してあげる』


千尋は飴玉1つを取り、包装紙を破って口に含んだ。


『許してくれるの?』



『うん!喧嘩なんてしたくないしね。付き合ったばっかだし』



俺は千尋を抱きしめた。
人目を気にせずに堂々と。

廊下にいた生徒達が俺達を見ていく。


そんなのどうでもいい。



『ちょっと!響!』



『千尋大好き…』



千尋のシャンプーの香りも、千尋の小さな体も…


そして千尋の心も…



全部俺のもの。


だが、俺は千尋のものではない。


千尋に体をあげても、
俺の心はそう簡単にあげたりはしない。



俺達は仲良く手を繋いで教室に入っていく。


そんな俺達を見てクラスの反応はどうだったかは言うまでもないだろう。
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