恋愛一色
千尋はきっとヤキモチを妬いているのだろう。


…それがどうした?
離れていきそうで心配?

心配しても意味ないよ?


俺はいつかお前から離れていくからさ…


俺は心の中の叫びを押し殺し、心とは真逆のことを言った。



『離れていかねぇよ。ずっと一緒だから』


俺が強く千尋の手を握り、強い目差しで見つめた。


千尋はしばらく俺の瞳を見て、嬉しかったのか照れたのかは分からないが、顔を隠すように俺に抱きついてきた。



俺は千尋の頭を撫でてあげた。


まるで仔猫を可愛がるように…



『…響…ずっと一緒にいたい…』



俺はこの言葉を聞いてにやりと笑った。



『じゃあ家くる?』



俺がこう言うと千尋は嫌だとは言わずに、尻尾を振って喜んでついてきた。



…単純だな。

こんな言葉を吐けば勝手についてくるなんて。



単純すぎなんだよ。
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