恋愛一色
俺は優しく千尋をもて遊んだ。


部屋中に漏れる千尋のいやらしい声を聞いても、俺はなんとも思わない。


千尋が初めて見せる熱った顔も…体も…



…俺はなんとも思わない。


ただ俺は千尋を上手く利用していただけだ。


込み上げる欲望を、千尋に吐き出していた。


きっと千尋もそうだろう。
抑えきれなかった自分の欲望を俺にぶつけてきたはずだ。


だから…あんな言葉を言って俺を誘ってきたんだろ?


全てが終わると俺は脱力感に襲われる。


そして…あとで悔やむのだ。


隣ですやすやと疲れた体を休ませて眠っている千尋を横目で見た。



もしかしたら…遥斗が言っていた後悔ってこのことだったのかな?


女を抱いて後悔する男はきっと…この世界で俺しかいないだろう。




『…つまんねぇの』



この先に楽しみなどない。つまらない人生が待っているんだ、と俺は思っていた…
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