恋愛一色
俺は隣でぐっすりと眠っている千尋をそのままにし、ベットの近くに散乱していたスエットを拾い、それを着た。



布団から出ると体が震えるくらい寒い。


それを感じる度、もうそんな季節なんだ、と思ってしまう。



俺はスエットの下をはき、窓を開け、ベランダへと出た。




はぁっと息を吐くと、白い息が見える。


空が黒いのか、余計に白さが増す。



『今日は月が見えねぇな…』


今日の夜空に、月の姿はなかった。



いつもなら黒い空に黄色い月が浮かんでいるのに…

今日は浮かんでいなかった…


月はまるで俺のよう。


暗い世界に、頑張って光を出している。


そこには俺だけ。


その暗い世界は…俺の犯した罪。



俺は罪の中に生きていた。

そして必死にその罪から逃れていた…



月は俺と紙一重。
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