恋愛一色
俺は千尋の顔を見ることは出来なかった。


…ここでバレてしまったら、今までついてきた嘘と、今までしてきた演技が全て水の泡だ。



俺はゆっくりと口を開いた。



『…覚えてねぇの?千尋がこの痕つけたんだよ?分かんないか。千尋すげぇ感じてたから』



俺は賭けに出た。

この嘘で千尋が信じてくれなかったら、俺は千尋を今ここで捨てよう、と。


今、こんなにも冷静な口調で言ったが本当はとても焦っていた。



…信じろ。



…騙されろ。



俺は真っ直ぐと千尋の顔を見た。



すると千尋はまた赤面をした。



『本当?私知らない間に響につけてた?』




………勝った、俺の勝ち。



『びっくりしたって!いきなりやられたから』



俺は千尋の頭をぐちゃぐちゃにしながら言った。


この笑顔も、この行動も、



全部お前を騙すためだよ?
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