恋愛一色
俺は手をぐっと握る。


『意味わかんねぇよ…遥斗…』



瞬きをあまりしないようにした。
なぜならば、涙が溢れそうだったから…



『遥斗を見失った…』



すると淳が息を切らして部屋に戻ってきた。


服を扇ぎ、ベットの上に座る。



『響、なんか遥斗ってさ…自分のこと話さねぇよな。秘密主義っつーかさ』



淳が手を止めて、俺を見ながら行ってきた。


俺はまだ…動くことは出来ない。



フローリングの床の模様をずっと見ていた。



『悪い…帰って…くれないか?』



俺は静かにこう言い、和馬と淳に帰ってもらった。



今は一人になりたい。

一人にならないと、泣けないから。



夕日が地平線へと沈み、空には太陽と交代した月が顔を出していた。



俺の部屋も次第に暗くなっていく。



俺は電気もつけずに、抜け殻のように座っていた。
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