恋愛一色
《俺はお前みたいな嘘の笑顔なんかしたくねぇから》


遥斗の言葉が離れない。


俺はベットに持たれかかり、頭を抱えながら静かに涙を流した。



『…知ってたなら…教えてくれよ…』



こんな小さな弱音も、
こんな小さくなった自分も、


俺は誰にも知られたくなかった。



こんな姿…誰かに見られたくない…



『響?』


ドア越しから母さんの声が聞こえてきた。


俺は袖で涙を拭き、涙を消した。



『…何?』



『ちょっと買い物に行ってきて欲しいの。お母さんは今からご飯作らなきゃいけないから』



俺はベットから下り、ドアを開けた。



『…行くよ』


俺はダウンコートをハンガーから取り、お金をもらって近くのスーパーに向かった。



母さんに頼まれたものは、牛乳と小麦粉と卵だった。

きっとお菓子でも作るのだろう。



母さんはお菓子作りが得意だから。
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