恋愛一色
買い物を終え、俺はすぐには家へと帰らなかった。



近くの公園へと行き、昔のことを思い出していた。



風でブランコがゆっくりと揺れている。



よく小さいころに遥斗とブランコに乗って遊んでいたな──……




───……桜の花びらがひらひらと舞い、地上へと落ちていく季節。


俺は遥斗とよく施設の近くの公園に遊びにきていた。


『遥斗!今日も競争だかんな!』



『僕の方が高いところまで漕げるもん!』



俺達はいつもブランコでどこまで高く漕げるか競争をしていた。



でも俺は毎回負けるんだ。

遥斗より高く漕いだことなんかなかった。



いくら頑張って足を曲げて漕いでも、遥斗には勝てないでいた。



この日も負けだ。



『あ~…また負けた…
なんでそんな高く漕げるんだよ?』



遥斗はブランコの上に立って、空を見上げた。
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