恋愛一色
光輝さんが取り出したものは、一枚の写真だった。



その写真の中に、夕日に染まった街と、桜が写されていた。


すごくその写真が綺麗で俺は少し止まったまま、なにも考えられなくなった。



『すげぇ…』



『俺が尊敬している人が撮った写真なんだ。一枚あげるよ』



『え?』



『頑張って。じゃあまたね』



光輝さんは立ち上がり、俺の前から去って行った。


最後に、優しい笑みを浮かべて──…



俺は光輝さんの姿が見えなくなるまで、光輝さんの背中をずっと見ていた。


光輝さんに出会えてよかった。


もし出会っていなかったら、俺は間違った人生を送っていたに違いない。



感謝します…


俺はその写真の中に吸い込まれていく。


一度でいいから、この景色を見てみたい。


一度でいいから、この写真を撮った人に会ってみたい…
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