恋愛一色
俺は立ち上がり、千尋がいる場所にと歩いていく。


めずらしいな、千尋が俺のクラスに来るなんて。


なぜならば、千尋のクラスは俺のクラスから一番遠いところにあるからだ。



『どうした?』



『日曜日部活ないんだ!だから遊ぼうよ!』



『いいよ!』



この癖は全然直らないでいた。


この…偽りの笑顔。



『最近響に会えないから久しぶりに見れて嬉しい!』


千尋は可愛らしい笑顔を見せるが、俺の心は冷めていた。



『俺も嬉しいよ!』


千尋を抱き寄せて、頭を撫でる。


こうして俺は嘘を重ねていく。



千尋と別れ、教室に戻ると案の定、淳と和馬に冷やかされた。


遥斗はあれからもうなにも言わなくなった。


何も言わず、淳と和馬に冷やかされている俺を見つめているだけだった。



俺はそんな遥斗の視線を気付かないフリをしていた。
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