the age of civil war
「あたしが人を殺した事があるからだよ…。」
「姫っ!!」
メイドが慌ててホワイトを止めようとしたが、ホワイトは手でメイドを制止する。
タケルはビクッとなった。
人を殺した事がある?
ホワイトはスーッと深呼吸し、気持ちを落ち着かせ、続きを話始める。
「世界中が今、あっちこっちで戦をしているんだ。世界中が平和でずっと続いてきたのにだ。始まりは、とある国の侵略。その国は、世界のトップにたち、世界中をまとめていた国だった。そこが何故、他国の侵略に踏み切ったのかはわからない。しかしその国が侵略を始めたお陰で、平和が保たれなくなった世界中あちこちで戦争が始まったんだ。」
ホワイトはたびたび鼻をすすりながら、真剣にタケルに話をした。
タケルも最初は驚いたが、次第に冷静さを取り戻し、ホワイトの言葉をしっかりと聞いている。
「あたしの国はずっと戦に反対をしてきていたのだけど、ついに同盟国までも戦う事を決めてしまったのだ。だけど…。」
ホワイトは、当時を思い出しながら語った。

―五年ほど前―
「やはり、もう戦うしかないのか…。」
ウィンダム国、謁見の間。
王、つまりホワイトの父が王座に浅く腰掛け、重いため息と共につぶやいた。
「父上、いや王!!もうクリスタルが止まる事などないでしょう!このままでは、いずれここにも手を伸ばしてくるのは、目に見えています!!」
若かりしホワイト。この頃からギャルのいでだちは変わらないようだ。しかし身にまとっているのはドレスではなく、甲冑であった。翼のある種族のため、背中が大きく開いている。
「戦になれば、この国も無傷でいられないのでしょう。民の血が流れるのは見たくないですよ。」
ホワイトより少し幼なそうな女が言う。ドレスを着、同じく背中には美しい白い翼が生えている。ホワイトの妹だろうか?
「そうだな。私もこの国の者達が戦で傷つくような姿は見たくない。ミリアの言う通りだ。まさか、我がウィンダムまでクリスタルが向かってくる事はないだろう。」
王は、ミリアと呼ばれた女の一存で、戦わないと決意をしたようだ。ミリアを優しく見つめて言った。
しかし、その意見にホワイトは納得がいかない。
「同盟国であるナッシュはどうなさるのですか!?彼らは民を守るために、戦う事を決めました!そのナッシュを無視なさるのですか!?」
< 25 / 30 >

この作品をシェア

pagetop