the age of civil war
「うるさいっ!!」
王は一喝した。
「お前は王家の人間に産まれたというのに、王家のために結婚をする訳でもなく、国の政に精をだす訳でもなく、勝手にナッシュへ行き、兵に混じって使えもしない武器を振り回しているくせに、王家の人間のような顔をするな!!」
さきほど、ミリアに向けた優しい笑顔からいっぺん、鬼の形相でホワイトを怒鳴りつけた。
「…。」
ホワイトは一気に黙り込む。
あなた達とは考えが合わないからじゃない。
ホワイトは黙って、間を飛び出した。

嫌な事を思い出した。今はそんな話をしているんじゃない。
ホワイトはフルフルと頭をふり、話を戻した。
「ナッシュ国をほっておける訳ないじゃない。今まで散々お世話になってきたんだから。」
(それに、あの人がいたから…。)
「あたしはずっと家族にはいらない存在だったから、勝手にしてやろうと思ったの。今でも間違った事してないと思ってるし、あたしはナッシュと戦うの。」
前置きが長いのか、ホワイトも心の底にたまったものを吐き出しているのか、深く話をしてくれた。
人を殺したという発言が気になっていたのだが、話を聞いているうちにそんな事どうでもよくなり、このホワイトという人間に興味が湧いた。
「そんなん家族っていうのか?」
タケルには信じられる訳がない。
「…あたしもそう思うんだけどね…血がつながってるし、家族って言うのよ?」
寂し気に笑うホワイト。
「いや、絶対ちげえよ!そんな家族ならクソくらえだ。俺でもそうする!」
タケルは、まっすぐにホワイトを見つめ、言い放った。
「ありがとう。」
また寂し気な笑顔。
「とにかく…?何が言いたかったのか、忘れちゃったじゃない!」
ホワイトは、タケルを落ち着かせるために話を始めた。ホワイトが始めて人を殺めた時の苦しみを伝え、復讐心を薄れてしまわせたかった。しかし、話しているうちに二人は落ち着き、そんな話、今更しなくていいんじゃないかという雰囲気になっていた。
「ゴメン。ちょっと落ち着いた。今ならちゃんと考えられると思うから。」
タケルもフーッと深呼吸。
「そんな簡単に切り替えられるもんじゃないと思うから、苦しくなったらすぐに言うんだよ。」
たしかにこの場だけの落ち着きなのかもしれない。それでもタケルは、今ここは安らげる場所なんだと思った。
< 26 / 30 >

この作品をシェア

pagetop