the age of civil war

すれ違う人、メイドも皆背中に翼が生えていた。
生まれつきなのであろうか？
適当に歩くと、まさにホールの様な場所に出た。ここは二階だったようで、下に広いホールが広がっている。大きな扉に二人の兵士。そこが、城の外につながってる扉らしい。
パタパタとメイドが走り回っている。城の中には、一般人はいないようだ。メイド、兵士、城で働いているような者達ばかりとすれ違う。
「あら、あなた達は？」
後ろから、アニメの声優さんのような可愛らしい声が聞こえた。
二人で振り返るとそこには、いかにもお姫様という姿のお人形さんのような可愛い女の姿があった。可愛いといっても、クロス達より年上のようである。
長いパーマヘアで、風に優しく揺れ、こちらを見ている。
「あっ、俺たちは…。」
タケルはその可愛いさにタジタジになった。
「森の村の方達ですね。昨日は本当にお辛い思いをされたでしょう…。この国に来られたからには、もう安心ですからね。戦の事など忘れ、平和に生きていきましょう。」
営業スマイルなのであろう。心の底からの気持ちが伝わってこなかった。しかし、ここは本当に戦とは縁のない国らしい。城は、働き手はバタバタとしているが、変な忙しさを感じない。落ち着いている。
「あ、どうも、ありがとうございます。」
タケルは一応頭を下げた。
「申し遅れました。私、ミリアと申します。ホワイト姉様の妹でございますので、姉様のお客様であるあなた方を歓迎いたしますわ。」
ミリアは、軽く手を合わせ、自己紹介をした。
「俺はタケル。こっちが…。」
「お姉…ちゃん…。」
姉という言葉にピクッと反応してしまった。
「こ、こっちはクロスです。いま、まだ落ち着いていなくて…ゴメンなさい！失礼します！」
暴走しそうな空気を察知し、挨拶もそこそこに、クロスの腕をつかみ、タケルは階段を駆け降りた。
クロスはボーっとしているので、引っ張られ階段を転げ落ちそうだ。
「はあはあ…ゆっくり深呼吸しろ。落ち着け。落ち着け。」
タケルは、ヒヤヒヤしながらクロスの頬を手で挟み、しっかり目をみて深呼吸させた。
「吸って～。吐いて～。吸って～。」
自分自身も落ち着かせるように、タケルも一緒に深呼吸した。
クロスは暴走する事なく落ち着いた。