the age of civil war
先ほどのミリアと名乗る姫は、ホワイト姫とはまったく印象が逆であった。同じ血をひく姉妹でこんなに違うものか。まあでも、心の内を見せてくれたホワイトにはすごい親近感がわいていて、だからといってどうこうという訳じゃない。
「歩けるか?」
落ち着いた頃を見計らって、ふたたび歩みを始めた。
また階段を上がったりグルグル歩きながら、さっきホワイトがしてくれた話をクロスに告げた。
クロスは相変わらずボーっとしているが、話はちゃんと聞いてくれているようだ。ただ、頷くだけだが。
ドガーンっっっ!!!!
何かが強くぶつかった音と共に、地面が激しく揺れる。あまりの強い揺れに立ってられず、二人は勢いよく尻餅をついた。
ガタガタガタ
クロスは怯え、一点を見つめてガタガタと震えた。
「なんだ!?」
地震のようなものも体験した事ないタケルは、地面が割れるんではないかというような強い揺れに辺りを見渡した。一瞬で収まった揺れだが、何かが城に衝撃を与えたようだ。ボロボロっと壁が少しはがれた。
バタバタバタっ
部屋で休憩をしていた兵達が部屋から飛び出してき、階段を駆け下り外へとつながる扉から外へ出て行った。
ただ事ではなさそうだ。
「お前たち!!部屋に戻れ!!」
その兵の中に混じり、ホワイトも姿を表した。
「何かあったんですか?」
タケルはすかさず尋ねた。
「クリスタルだ。」
ホワイトは聞こえない声で呟き、すぐさま階段を上に上がって行った。
タケルは唇の動きでそれを察知した。
「さっき言ってた国か。世界をまとめ上げていた国…侵略を始めた国…。」
タケルは興味を持った。
不謹慎な言い方かもしれない。ウィンダムが侵略されるかもしれないって時に、そのクリスタルに興味がわいたのだ。
「クロス!部屋にいろ!」
ガタガタと怯えるクロスから優しく手を放し、ホワイトの後を追おうとした。
「やだ!!行かないで!!」
クロスは怯え、タケルの腕を痛いくらいに握ったのだ。
ホワイトはどんどん先に進む。
タケルはホワイトの後に続き、そのクリスタルの人間の姿を拝んでみたいという気持ちの方が勝ったため、座りこむクロスを一瞬抱きしめ何やらつぶやき、本気のスピードでホワイトの後を追った。
クロスはしばらく座り込んだままだった。
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