君の瞳が愛をささやく
その日の夜、莉緒は買い物を済ませて家にやって来た。


「成田教授なんだって?」


自分からは話す気配のなさそうな莉緒に尋ねた。


「うーん…
ゼミの話だったよ?
教授が自分のゼミに入ってくれって…言ってくれたの。」


「…そっか、良かったな?」


「…うん。」


今思えば、その日の莉緒は上の空で、何かを隠している様だった。


翌日学校で会った莉緒は、何事も無いような変わらない笑顔を浮かべていた。


幹ちゃんに莉緒の事を聞き出してもらおうかとも思ったが、なんだか莉緒を信用していないようで…


なにかあったら莉緒から言ってくれると信じているから、無理に聞き出すのは止めた。





でも、その時の事は今でも後悔している…


あの時無理矢理にでも話をしていれば…
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