君の瞳が愛をささやく
はぁ…


どうしよう、渡すの止めようかなぁ…


コンコン


「はい?」


「莉緒、そろそろ行くぞ?」


扉越しに陸が言った。


「…すぐ行くわ。」


私は慌ててノートを鞄に入れた。


扉を開けると、陸が難しそうな顔で立っていた。


「お待たせ、陸。
…どうしたの?」


陸は私の顔を見ながら、考え込むように黙った。


「陸?」


「…あのさ莉緒。
俺…」


陸が何か言おうとしている。


なんだか改まって…


「姉さん、陸兄?
行くよー!」


臣が階段の下から呼んでいる。


「…今行く!
莉緒、行こう。」


陸はそのまま階段を下りて行った。
< 27 / 151 >

この作品をシェア

pagetop