君の瞳が愛をささやく
翌朝、私は封筒を引き出しの奥に隠した。


手紙を捨てられる程、自分の気持ちが整理できていなかった。


でも陸には絶対見つかりたくない。


もし陸が知ったら、行けと言うに決まってる…


そしてその後には別れしか残らない事ぐらい解ってる。


それだけは嫌だから…


だから引き出しの奥に隠す事にした。


いつか自然に忘れられるはず。


私には、陸の側にいる事の方が大切だから。


コンコン


「はい、どうぞ?」


扉が開いて臣が顔を出した。


「姉さん、今日学校行く?」


「…今日は行かないわ。
これから陸の家に行くから。」


三年生は自由登校期間だった。


生徒会の引き継ぎも無事終わったし、今日は学校へ行く理由がない。


「分かった。
じゃあ行ってきます。」


「いってらっしゃい。」
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