ピクシーホルン



―――…〜我は願う。豊かな心が豊かな大地を産むことを。静かな声が大海を動かすことを。今、ここに願い、しなやかな指から奏でる色とりどりの華とならんことを。力強く生きる獸たちが命を紡ぎ、風が雨がその命を育ていく世界を羽ばたき空を架ける唄となる〜





心込めて唄うナタリー。
祖母からの教えを想い出しながら、歌詩を唄い上げた。


その声にドビシーは驚き、聴き入っていた。


「…怖かったわね。私はあなたの怪我を治したいの」


―…怪我?


「怪我を治さないとあなたは死んでしまう」


―死、ぬ?わたし、死ぬ、の…


「大丈夫。だけど約束があるの。怪我が治るまでの間飛ばないでほしい」


―怪我が治るまで飛べないの?


「お願い。私が責任持って治療するから」


―…わかった。って貴方には声は聞こえてないんだよね


「…え」


―…え?


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