ピクシーホルン
アレン宰相はナタリーの言葉を聞いて、さっと顔を青くした。
「な?!何を言ってるんですか!無理に決まってるでしょう!精霊神獣ですよ?」
ナタリーはやっぱり、と小さくため息を吐いた。
「私はさっき怪我が酷いと言いましたよね?それには、羽根の怪我も含みます。治るまでは上手く飛べません。それに容態は落ち着き安定しています。外しても何も問題はありません。彼女にも約束してもらいました」
「っ…しかし…、今、約束してもらったと言ったが…精霊神獣と会話したのか?」
「…会話というか…動作とか、ですかね。彼女は私たちの言葉がわかるみたいです」
ナタリーはドビシーの声が聞こえることを言わなかった。
何故だか言えなかった。
「そうか。わかった。だが、鎖を外すことはできない」
「っ、なぜです?」
「不思議な力を使われ、仲間を呼ばれてはこの国は滅ぶ。それに陛下の許可がなくては…」
「それじゃあ今すぐ、陛下に許可をとってください。この状態では消毒のみで治療ができません。何のために私を呼ばれたのですか」
「…わかりました」
宰相は渋々という顔をし、その場を去った。