ピクシーホルン


獣医博士は《ミシェラ》ではたった二人しかいない。


ナタリーとナタリーの祖父、クリップソン・クレアだけだ。


ただの肩書ではなく、もしものとき《絶対禁忌》である精霊神獣が怪我を負った場合のみ、保護、治療が認められる。


クレア家は代々獣医博士の家系だった。


昔はこの国にも沢山いたが、精霊神獣を滅多に見ることはなく、もしものときは自分の命さえ危ないとわかり、徐々に減り、今はクレア家だけになった。


治療の仕方は代々受け継げられるため、一般的になるのは難しい。知識も膨大にある、それは勉学を常にしなければ忘れるほどに。


ナタリーもその教えに従い、獣医博士になった。




―巫女…はなぜいるのかしら。精霊神獣の声を聞き、人を導くと言っていたけど…それじゃあ使者はなぜいるの?人を導くとは何?ああっわからないことがたくさんでトワに早く聞きたいわ!―


ナタリーは顔にこそ出さなかったが、興奮気味にさっきの出来事を考えていた。



< 20 / 21 >

この作品をシェア

pagetop