ピクシーホルン
甲板にもあちらこちらに損傷はあった。しかし、驚いたのはそこではなく明らかに人ひとりだけの量ではない血痕が飛び散っていた。
その惨劇にあとからきた警備兵達も息をとめた。
そして、あることに気付く。
「……人がいない」
警備隊の一人がそう呟く。
これだけの血痕のあと。
それなのに怪我人、死体さえなかった。
一人分の量より遥かに多い血痕、そして血痕のみの無人の甲板…しかし、これで誰もいないというにはまだ早い。
「…もしかしたら隠れているのかもしれない。ここにシルバとマイルは残って甲板を隈なく調べろ!残りは俺と中を捜索する」
警備隊の隊長ブルーチ・サハリはそう皆に言い、隊員のシルバ・ノクアとマイル・アシスの二人を残し、船内を捜索し始める。