タイセツなキミよ、サヨウナラ
なれない家。
なれない人。

ファイは、ガタガタと震えていた。


「ファイ、おいで」

お母さんが言っても、お父さんが言っても、ファイはオリから出てこない。

主人公は、いざ前に来ると怖くて触れない。

しばらくすると、ファイもなれてきて、お母さんやお父さんの手を舐め始めた。


「あんたが、犬欲しいって言ったんでしょ。ほら」

怯えて、泣き出す主人公を両親は無理矢理ファイに近づける。

ファイは、そんな主人公の手を舐め、

『どうして泣いてるの?大丈夫?』

と言うかのように、涙を舌で拭ってくれた。

「かわい…」

主人公は、泣きながら少し笑った。
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