七色の糸(仮)
 最後に下敷きを取り上げようとしたときに、ちょうどその上にシューズが乗った。下敷きはパキッ、と小さな音をたてて三つに割れた。

「ちっ」と舌打ちが聞こえたような気がした。ぼくは素早く下敷きの破片を拾い、教室に入った。

 シューズには高谷と書かれていた。



 次の授業は全く集中できなかった。

 ぼくは孤立していた。それはぼく自身が招いた結果だ。

 みんな、汚いものを見るような目でぼくをみる。

 ぼくはそんなに悪い人間なのだろうか。

 腹痛が限界に達しぼくは手を挙げた。具合が悪いと告げると、先生はため息を溢し「いきなさい」と促した。

 誰も解ってくれない。

 ぼくは逃げるように教室を出る。



 みんなのようになれない自分を恨んだ。

 ぼくはとうとう独りだと実感した。

 みんな、敵だ。


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