七色の糸(仮)

　中学生になってから、ぼくは独りでいる時間をだんだんと空想や妄想でやり過ごすようになり、今ではすっかり癖と呼べる程に身についてしまっていた。

　顔を伏せて目を瞑ると、ついさっき割れてしまった下敷きを思い浮かべた。

　新しいの買わなきゃな……。

　続いて、シューズの名前を思い出す。

　高谷くんはわざとやったのだろうか？

　きっとタイミングが悪かったのだ。そう思い込むことにした。

　高谷くんはいつもみんなに囲まれていた。ぼくも彼のような人間だったらどんなによかっただろう。

　ぼくは高谷くんのように振る舞う自分の姿を想像してみた。しかし失敗した。あまりにも現実味に欠けていて、うまく形にできなかった。



　次は教室で暴れまくる自分を思い浮かべた。

　この想像は何故か成功してしまった。いい気分にはならなかったので、すぐに想像を打ち切った。