七色の糸(仮)
 目を瞑ったまま、一時水槽のモーター音に耳をすます。



 頭の中に友達という文字が浮かんだ。

 岸くん、高谷くん、湯元さん……クラスメートの顔が現れては消えた。記憶を小学生の頃にさかのぼってみる。ついこのあいだ卒業した筈なのに、ずいぶんと昔に感じた。

 面倒くさくなって、いらないという文字を友達にぶつけた。

 しかし、友達の文字は消えずにどんどん頭の中を占領していった。

 そんなに友達がほしいのか……?それとも、憎らしいのか。

 しばらく考えて、諦めた。よくわからない。



 そうだ。ぼくはいいアイディアを思いついた。



 友達をつくろう。自分のためだけの。想像の世界は自由だ。



さっそく頭の中に思い描いてみた。ところが、一から何かを造り出すとなると、それはとても難しく苦戦を強いられた。


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