七色の糸(仮)
 もともとお腹はゆるいほうだった。緊張するとすぐにトイレにいきたくなる。

 なので中学生になってからは常にお腹の心配をしなくてはならなくなった。



 その日は、朝からコーヒーを飲んだのがいけなかった。

 いつもより早く目が覚めてしまい、時間にかなり余裕があったので、コーヒーをたてて時間をつぶした。お腹がゆるいくせに、ぼくはコーヒーが大好きなのだ。

 午前中の授業が終わる頃には限界が近づいていた。

 給食の間、何度も席を立とうかどうか迷った。味など全くせず、冷たい牛乳はただの凶器でしかなかった。



 地獄のような食事を終えると、ぼくは一目散に男子トイレへと向かった。学校で大の方をすることは、とても恥ずかしい愚かな行為だと分かっていたが、最早それどころではなく、むしろ漏らさずに済んだ安堵感のほうが勝っていた。

< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop