七色の糸(仮)
 担任の山内先生はもうすぐ四十になるそうだけど芸能人のようにに綺麗な人だった。

 姉が事情を説明している間、ぼくは恥ずかしくてうつ向いていた。

「お姉ちゃん、優しいね」

 そう言われ、姉はとても照れくさそうにしていた。そして、ぼくの頭をグシャグシャとかき回すと職員室を後にした。



 それから先生はぼくと別の部屋に移動した。先生はぼくの肩に手を置くと、真剣な顔をした。

「誰にされたの?」

 ぼくは答えなかった。

「言いなさい」

 いろんな言葉が頭の中を駆け巡ったが、声にはならなかった。

 一時の沈黙が流れた後、先生はうん、と一言呟くと今度はぼくの手を優しく両手で掴んだ。

「今度から、お腹が痛くなったら、いつでも保健室にいきなさい」

 それは救いの言葉のように思えた。



 その日からぼくは保健室の常連となった。

 先生もきっと呆れたことだろう。

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