鏡村【短編】
まさかね。


あんな話は都市伝説で、実際に起こるわけないんだから。


だけど、ここまで人に遭わないなんて、この村は廃村になったのだろうか。


最近じゃ市町村合併なんて少なくもないし。


周りを見渡す玲に、何かが当たった。


それは物でもなければ、風が吹いて体を触れた訳でもない。


光が玲の眼を刺激したのだ。


この眩しい感覚。


太陽を直視したかのように自然と目を細めてしまう。


それがどこから刺されているのか、その光の発生源を探した。


目は光を避けるように、しかし身体はその光に近づく。


辿り着いた先は一つの木。


鏡だ。


手鏡位の大きさのそれは、太陽の光を跳ね返していた。


なんでこんな所に鏡が?


それだけではない。


良く近付いて見なければわからなかったが、あらゆる所に鏡が在った。



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