鏡村【短編】
大小様々な鏡の数々。


何かを、誰かを監視するかのように。


あらゆる場所に置かれている、その殆どが太陽光を捉えていた。


そして、それは全てを一筋で繋ぐように、計算されて置かれているようにも見える。


一見すれば風景に溶け込んでいて、存在に気付くのが遅れてしまう。


気味が悪い。


常に見られている感覚さえ覚える。


ああ、どうしてこんな所に来てしまったのだろう。


わからない。


急に寒気がして、背筋がぞくぞくと気持ち悪い感覚に襲われた。


早くここを出なければ。


脳が信号を必死に伝えてきた。


みんな、もう車に戻ってるのかもしれない。


全速力で走って、帰る先だけを見て行けばいい。


早く…


早く―――――――



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