鏡村【短編】
あの門を抜ければ。


助かる。


何かに追われているわけでもない。


そのはずだ。


なら、私は何に追われているの。


何を怖がってる?


真新しいスニーカーは既に泥だらけで。


加速したいのに、思うように足が運べない。


私に門が近付く。


足は確実にその境界線を超えた。


「助かった…」


そんなの嘘だ。


私の思考と共に体がとまる。


「なんで…」


なんで、どうして。


私はあの鏡を見つけた場所に立って居た。


確かに村を出たはずだ。


なのに…



.
< 14 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop