鏡村【短編】
自分を見つける。


それがどういう意味なのか分からない私は周りを見渡した。


在るのは鏡。


そこに映る自分。


もしかしたら、此処にある鏡のどれかが出口なのかもしれない。


私は必至に鏡を調べた。


全ての鏡を。


それでも、何も見つける事が出来なかった。


「鏡がドアになってると思ったんだけど……」


違ったみたい。


まだ見つけてない鏡があるとか?


ふとあの時計を見る。


針はあと少しで重なりそうになっていた。


時が近いのだ。


絶望的。


ああ、住人になるって私どうなちゃうんだろう。


不安で心が痛い。


息が詰まりそうだ。



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