鏡村【短編】

｢はやっ、智治もう寝ちゃったよ｣


あはは、と玲は頭を前に向き直した。


｢智治の数少ない特技だからなー、玲も寝て疲れとっておきな｣


"かっこいい"よりは"可愛い"とよく言われる健人は、玲にニッコリ笑って彼女を気遣った。


｢ありがと、本当は一番運転手が疲れてるのにね……私も免許持ってたらなー｣


｢大丈夫、俺運転好きだから、玲には智治と亜美の世話役があるでしょ｣


｢そうだね、あの子達にはエネルギー使うからね｣


玲も笑顔でそう返し、数分の休息を取るつもりでおやすみと一言付け加えた。


車の揺れは眠ろうとする玲には凄く心地良くて、目を瞑ると自然に深い眠りついた。


健人はみんなが眠ったのを確認すると、ミント味が強力なガムを一つ口へ放り込む。


数キロ程渋滞していた道路も今ではスムーズに進めるようになっていた。



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