鏡村【短編】
■■

小さな何かに乗り上げたのか、ガタンという音と揺れで私は目を覚ました。


そこまで大きくはないレンタカー。


そんな動く箱の、助手席という小さなスペースで私は大きな伸びをした。


腕を頭上に挙げストレッチした私が健人の視界に映り、目を覚ましたのだと認識すると彼は静かに口を開いた。


「おはよ、さっき高速抜けたよ」


今どのあたりって聞く手間が省けた。


「そっか、じゃ目的地まであと少しだね」


私は寝ぼけ眼で携帯電話の待ち受け画面の時計を見る。


寝る前の時間とを比較した。


私結構寝てたんだ。


心の中でそう思いながら、後部座席を見る。


2人はぐっすり寝ていた。


「着いたら温泉だねー、楽しみだな」


私はメインの温泉を思い出し、健人に話し掛けた。



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