鏡村【短編】
車内は笑いに包まれる。
五月蝿い智治の声が原因かは不明だが亜美も目を擦りながら目を覚ますと、車内は一層明るくなった。
ふと、玲はサイドミラー越しに遠のく景色を眺める。
国道をどのくらい進んだのだろうか、車は再び渋滞の列に巻き込まれ、鏡に映る景色もぴたりと静止した。
対照的に、反対車線ではスムーズな車の動きが目に入った。
お出かけ日和という言葉に相応しい天気で、気温は夏日に近いほど暑い。
そのため風を取り込もうと開けていた窓を通し、反対車線から風を切り走り去る車の音が滞りなく聞こえる。
「よくさ、若者が見知らぬ土地訪れると存在しないはずの村に来ちゃったなんて怖い話あるじゃん」
「なにそれ、肝試しするなんて言わないでよ」
亜美はお菓子をみんなに差し出しながら智治に愚痴る。
ドライブの為に選曲した明るい歌が生き叫ぶように流れていた。
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五月蝿い智治の声が原因かは不明だが亜美も目を擦りながら目を覚ますと、車内は一層明るくなった。
ふと、玲はサイドミラー越しに遠のく景色を眺める。
国道をどのくらい進んだのだろうか、車は再び渋滞の列に巻き込まれ、鏡に映る景色もぴたりと静止した。
対照的に、反対車線ではスムーズな車の動きが目に入った。
お出かけ日和という言葉に相応しい天気で、気温は夏日に近いほど暑い。
そのため風を取り込もうと開けていた窓を通し、反対車線から風を切り走り去る車の音が滞りなく聞こえる。
「よくさ、若者が見知らぬ土地訪れると存在しないはずの村に来ちゃったなんて怖い話あるじゃん」
「なにそれ、肝試しするなんて言わないでよ」
亜美はお菓子をみんなに差し出しながら智治に愚痴る。
ドライブの為に選曲した明るい歌が生き叫ぶように流れていた。
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