鏡村【短編】
「けんとー」
玲は大声で叫んだ。
亜美と智治の名も同様に。
それも虚しく、返事は無い。
あるのは虫の音と叫びにも似た不気味な鳥の声、そして木の葉に何かが擦れる音だけ。
「ここどこなんだろ…」
旅行目的で向かっていた場所とは違うのは明らかだった。
自分だけ置いてけぼりを食らって腹が立ったが、その後直ぐに訪れるのは後悔だった。
それは車内での自分の言動。
言い過ぎただろうか。
私の一言で傷付けてしまったのか。
それとも単に、智治の勝手な思い付きで2人を強引に肝試しへと駆り立てたのか。
何にせよ、圏外と表示された携帯電話では連絡を取ることも現在地を知ることも出来なかった。
玲は方向音痴の為、車からあまり離れない程度に辺りを捜す。
「水の音?」
微かに耳へ届くその音を頼りに、真新しいスニーカーを履いた足で前へ前へと進んでいった。
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玲は大声で叫んだ。
亜美と智治の名も同様に。
それも虚しく、返事は無い。
あるのは虫の音と叫びにも似た不気味な鳥の声、そして木の葉に何かが擦れる音だけ。
「ここどこなんだろ…」
旅行目的で向かっていた場所とは違うのは明らかだった。
自分だけ置いてけぼりを食らって腹が立ったが、その後直ぐに訪れるのは後悔だった。
それは車内での自分の言動。
言い過ぎただろうか。
私の一言で傷付けてしまったのか。
それとも単に、智治の勝手な思い付きで2人を強引に肝試しへと駆り立てたのか。
何にせよ、圏外と表示された携帯電話では連絡を取ることも現在地を知ることも出来なかった。
玲は方向音痴の為、車からあまり離れない程度に辺りを捜す。
「水の音?」
微かに耳へ届くその音を頼りに、真新しいスニーカーを履いた足で前へ前へと進んでいった。
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