近代化
キーンコーンカーンコーン
放課後、僕が帰ろうとしていると、龍野が話しかけてきた
「なぁなぁ、今日暇?」
「うん、暇」
「だったらちょっと寄りたいとこあるんだけど、いい?」
「いいけど」
何だろうと思いながら、龍野の行きたいところについて行った
「ここ」
そこは、三階建ての廃虚だった
てか、この街にもこんなのあるんだ
「ここがどうしたの?」
「ここはな」
いつもより、声を低くして言う
「自殺の名所なんだ」
「…」
はい?何でこんなところ連れて来たんだよ
「で、僕にどうしろと?」
「どう思うかな…と思って」
そんなこと聞いてどうする。
「何でそんなこと聞くの?」
僕は半ば呆れながら聞いた
「姉が、ここで飛び降りたんだ」
「…」
だから何故僕を連れて来たんだよ
そんな僕の思いも知らず、話を続けている龍野
「一命はとりとめたんだ」
「よかったね」