蒼空から降ってきた少女





僕たちの教室、つまり二年椛組室内は、転校生の話題で持ちきりだった。


転校生、紅崎真白。


いや、クラス内だけではない。この成高学園中等部全体に“彼女”の噂は広がりつつある。



「紅崎真白、14才。趣味は人体解剖、特技は暗殺。」

凍りついた教室。

冗談だろ、と笑い飛ばそうにも本人の表情が、あまりにも真剣そのものだったので、誰もそうしない。いや、出来ないのだろう。


甘くとろけるような、それでも澄んだ美しい声で発した言葉は、まだ15に満たない中学生達を激しく警戒させるのには充分すぎる威力を持っていた。



担任も含め皆が引きつった表情を浮かべる中、ただ一人心から嬉しそうに微笑む男子生徒がいた。


蒼井遥、彼は、彼女に恐れも怯みもせず、ただただ心を弾ませていた。



 
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