蒼空から降ってきた少女
開いたドアの向こうに立っていたのは、担任の宮古叶也だった。
「…………」
先生の真剣で、複雑な表情に、誰もが一抹の不安を感じたのだろう。
言葉を発するものは一人もいない。
「えー、ちょっとした、……問題が起きたと言うか…。詳しくは全校集会で話すので悪いが、みんな今すぐ第2体育館に集合してくれるか」
お茶を濁すような先生の言葉に、
教室内は、再びざわめき始めた。
ちょっとした問題?
今まで授業を中断してまで、全校集会が行われた事などあっただろうか。
少なくとも僕はこんな体験をするのは初めてだった。
クラスで整列して第2体育館へ移動する間中、自分の中で何かが蠢いているように感じた。
上手く説明出来ないこの気持ちは何なんだろう。
階段を一歩ずつ踏みしめて下るたびに、身体は宙へ浮かび上がるような高揚感に包まれた。
体育館の入口で紅崎真白と初めて目が合ったのは、気のせいだったのだろうか。