蒼空から降ってきた少女




開いたドアの向こうに立っていたのは、担任の宮古叶也だった。


「…………」


先生の真剣で、複雑な表情に、誰もが一抹の不安を感じたのだろう。


言葉を発するものは一人もいない。




「えー、ちょっとした、……問題が起きたと言うか…。詳しくは全校集会で話すので悪いが、みんな今すぐ第2体育館に集合してくれるか」


お茶を濁すような先生の言葉に、
教室内は、再びざわめき始めた。


ちょっとした問題?
今まで授業を中断してまで、全校集会が行われた事などあっただろうか。

少なくとも僕はこんな体験をするのは初めてだった。


クラスで整列して第2体育館へ移動する間中、自分の中で何かが蠢いているように感じた。

上手く説明出来ないこの気持ちは何なんだろう。


階段を一歩ずつ踏みしめて下るたびに、身体は宙へ浮かび上がるような高揚感に包まれた。



体育館の入口で紅崎真白と初めて目が合ったのは、気のせいだったのだろうか。




 
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop