蒼空から降ってきた少女
「西藤先生」
顔を上げると窓から注ぎ込んでくる夕陽が眩しくて思わず目を細める。
私に声をかけてきたのは、正面の席に座る宇野尋戸先生だった。
「あ、どうしました?」
「ちょっと、携帯見てくれる?」
何だろう?と思いながら、電源を切って鞄に閉まっていた携帯電源を取り出す。
新着メールが一件届いていた。
差出人は宇野先生で、本文には、今日食事でもどう?と、一文だけ印されていた。
私が、ハッと顔を上げると、宇野先生は、にっこりと微笑んだ。
「よっ、よろしくお願いします。」
私の声が大きかったのか、放課後だとは言えまだ残っていた数名の先生方が、訝しげに私の方を見る。
ペコペコと頭を下げる私を見て、宇野先生は、また、声を殺して笑っていた。
夕日をバックに笑う宇野先生の表情は、綺麗なのだけど、どこか影のある感じがした。