夕方の縁側
ハゲの話
ミーン
    ミーン
ミーン
   ミーン


ここは、とある田舎町


日はすでに傾きかけているというのに、蝉の鳴き声はまだ町中に木霊している


一軒の民家を覗くと、その縁側には冷たい麦茶を片手に、おじいちゃんと孫が涼んでいた

二人は傾きかける夕日を眺めながら何やら話しをしているようだ



「おじいちゃん、今日も暑いね」

「そうじゃな、でも日本の夏はこれくらい暑くないといかんの~。」

「なんで?」

「えっ!?」


子供というのは何でも「理由」を聞きたがるものである


「なんでって、夏は暑くなきゃ夏じゃないやろ?」

「そうかな。僕は涼しいほうが好きだな。汗こんなにかきたくないし」

「確かに汗は厄介じゃ。ベトベトするしな。お前の言うとおりじゃ。」


世の中を知らない、純粋さゆえの無邪気な質問である

ただ、その無邪気な質問が大人を困らせることもしばしばある

そういうときは適当に聞き流して終わらせるのが一番だ


「でもおじいちゃんはいいよね。頭の髪の毛が薄いから、きっと僕よりも暑さを感じないんだろうね。」

「えっ?!?」













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