炬燵 (短編)
「何で黒なの?」

納得のいかない顔で尋ねた私に、アナタは得意げに言った。

「みかんの汁が飛んでも目立たないから」

なんてくだらない理由なんだと、目から涙が出るくらい笑った。

そんな私を見て、アナタも笑った。



結局、ミカンの汁は白い染みとして目に付いたし

ホコリが白く目立ってしまって散々だったんだけど。

それでもアナタは頑なに「黒でよかった」と言った。


「何で良かったのよ」

拗ねた顔の私に、アナタは得意げに言った。

「ミカンが映えるから」

天板はグレーなんだから関係ないじゃない、と呆れ顔で笑った。

それもそうだな、とアナタも笑った。



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