炬燵 (短編)
靴下
炬燵では決まって靴下を脱いだアナタ。

炬燵に足を入れて、器用に足の指先で脱いでたっけ。

そして、気が付けば炬燵の中は迷子の靴下が何足も温められてて。

「片っぽ、しらね?」

「コタツの中じゃん?」

「そっか」

「探さないの?」

「だって、布団めくったら寒いじゃん」

そう言って、タンスから新しい靴下を出して外出する。

あたたかな空気を逃がさないように。

四角く温められた空間は、アナタにとって宝物だったのかな。

< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop