炬燵 (短編)
二人で抱えて帰った座椅子。

縫い目が裂けて下の綿が見えるほどに使い込んで

誰が見ても大往生だった。

捨てたら?

首を傾げながら言う私に、アナタは「うるさい」そう言った。

本人なりの宝物だったみたい。



あの座椅子、どうしたんだっけ?


今はもうないよ。
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