炬燵 (短編)
温もり
あなたが大切に大切にしていたコタツ。

今も私が大切に使っています。

暖かな温もりはそのままで。





でも。

肝心のアナタがいない。



アナタが突然いなくなった後、

気分転換に、コタツ布団を一式変えてみました。

雰囲気が変われば、

記憶もどこかへ飛んでいくと思って。


でもね。

この温もりが、

この、柔らかく包み込む空気が

目を瞑るとアナタとの日々を昨日のように思い出させるの。

そっと足を伸ばせば、

ホカホカと温まったアナタの足に触れるような気がして。

右へ左へと、探してしまうんだよ。

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